ボトックス注射とは眉間の縦ジワなどを改善するほか、小顔効果やふくらはぎを細くするような効果を得られる施術として30代以上のとくに女性から支持されています。
そこで今回は、ボトックス注射について得られる施術効果や料金、副作用などについてご紹介します。
ボトックス注射とは
ボトックス注射は、ボツリヌス菌が生成するA型ボツリヌス毒素(タンパク質)を利用した治療法です。
この毒素は筋肉の神経伝達物質であるアセチルコリンの放出を抑制し、注入された筋肉の緊張を和らげることでしわの軽減や筋肉のリラックスを促します。
この効果は表情筋のしわ、顔のエラ張り、ふくらはぎの張りの改善に役立ち、また多汗症の治療や花粉症の症状緩和にも有効です。
ボトックス注射は特に額や眉間のしわ、目尻のしわの目立たなくする治療、マスク着用時に顔の印象を改善したい場合、小顔効果や顔の細部の印象を変えたい人に推奨されます。
また、多汗症の改善にも利用され、日常生活の質を向上させることが期待できます。
ボトックス注射で得られる効果
ここでは、ボトックス注射で得られる主な効果についてご紹介します。
表情ジワの改善・予防
ボトックス注射は、表情筋の収縮を抑制することで、笑った時の目尻や鼻筋の笑いじわ、怒った時の眉間の縦しわ、額の横じわを軽減します。
この治療により、表情を作ってもしわが出来にくくなる効果があります。
また、無表情時にも目立つようになっていた細かいしわが目立たなくなり、同時に将来のしわの形成も予防することができます。
このように、ボトックスは表情によるしわの改善と予防に対して有効な治療方法です。
顎の凹凸改善
「うめぼしじわ」とも呼ばれる顎のでこぼこは、おとがい筋の過剰な動きによるものです。
ボトックス注射を用いてこの筋肉の動きを弱めることで、顎がつるんと滑らかになり、老けた印象が改善されます。
さらに、あごの筋肉がリラックスすることで顎が前下方へ移動し、顔の輪郭がすっきりと整います。
小顔効果・エラ張り改善
エラ張りは骨格、リンパの停滞、脂肪の蓄積など複数の原因がありますが、筋肉(咬筋)の発達が原因の場合はボトックス注射で改善が見込めます。
特に奥歯を噛みしめたり歯ぎしりをすることで発達した咬筋をリラックスさせ、ボリュームを減らすことでフェイスラインをすっきりさせ、小顔効果を得ることができます。
この治療は「小顔ボトックス」とも呼ばれ、効果的にエラの張りを軽減します。
口角アップ
年齢と共に口角が下がるのは口角を引き上げる筋肉の緩みと、引き下げる筋肉の収縮が進むためです。
ボトックス注射を利用することで、口角を引き下げる筋肉の緊張を和らげ、口角を上向きにすることができます。
これにより、老けたり不機嫌な印象を与える「への字口」を改善し、若々しく活発な表情を取り戻すことが可能です。
この治療は、口角のリフトアップを望む方に特におすすめです。
人中短縮
人中短縮ボトックスは、鼻と唇の間にある縦の溝である人中が長いと感じる人向けの治療法です。
人中が長いと間延びしたり老けた印象を与えることがありますが、この治療では上口唇部分にボツリヌストキシン製剤を注入し鼻下全体を引き上げることで、上口唇が上向きになり、鼻と唇の距離を短く見せる効果が得られます。
結果として、顔全体が小さく、引き締まった印象に見えるようになります。
さらに、この方法では上口唇のボリュームアップも期待でき、顔の若々しさを取り戻す効果があります。
この治療は、鼻の下の長さや上唇の薄さが気になる方、加齢による人中の伸びが気になる方に特に推奨されます。
ふくらはぎの脚痩せ
「ししゃも脚」と呼ばれる現象は、ふくらはぎのヒラメ筋が過剰に発達していることにより、筋肉が目立ってしまう状態です。
ふくらはぎが太く見える主な原因として、脂肪の蓄積、むくみ、そして筋肉の発達があります。
特に筋肉の発達は、過去にスポーツを行った経験や、日常的にハイヒールを履く習慣など、特定の筋肉を過度に使うことが原因であることが多いです。
このような筋肉の発達に対してセルフケアだけでは改善が困難な場合、ボツリヌストキシン製剤の注射が有効な対策とされています。
この治療により、ふくらはぎの筋肉をリラックスさせることができ、ボリュームを抑えるとともに、より細くしなやかな脚のラインへと改善することが可能です。
この方法は、筋肉による太さが気になる方に推奨される治療です。
多汗症改善
脇の下や手のひらの過剰な発汗を抑制するために、ボツリヌストキシン製剤を注入する方法があります。
この治療により、汗腺に対する神経伝達物質アセチルコリンの放出がブロックされ、結果的に汗腺からの過剰な発汗を効果的に抑制することができます。
花粉症の症状改善
花粉症ボトックスは、花粉による鼻水症状を抑制するための治療法です。
この方法では、鼻腔内にボツリヌストキシン製剤を点鼻し、鼻の粘膜にある神経に作用させます。
ボツリヌストキシンはアセチルコリンの放出をブロックする効果があり、これにより花粉の刺激によって引き起こされる過剰な鼻水の生成を抑えることが可能です。
この治療はアレルギー性鼻炎の症状緩和に効果的とされています。
ボトックス注射で使用される主な製剤
ボトックス注射では主に以下の製剤が使われることが多いです。
ボトックスビスタ
しわ改善治療において、ボトックスビスタ®は目尻、眉間、額、顎などのエリアに使用され、アラガン・ジャパン社製の高品質で安全性が高い製剤です。
この製剤は日本で唯一厚生労働省の承認を受けており、アラガン社は1980年代からA型ボツリヌス毒素製剤の開発に関わり、長年の臨床経験を持っています。
BOTOXは米国での発売以来、世界トップシェアを誇り、60か国以上でその効能と効果が認められています。
なお、ボトックスビスタの施術はアラガン社から認定を受けた医師のみが行うことができます。
このような背景から、ボトックスビスタはしわ治療における信頼性と実績のある選択肢とされています。
ニューロノックス
ニューロノックス®はMedy-Tox社製のボツリヌス毒素製剤で、ボトックスビスタ®と同じ成分を含んでいますが、後発品としてコストパフォーマンスに優れているといった特徴があります。
KFDA(韓国食品医薬品安全庁)によって認可されており、国際的にも広く使用されています。
特に小顔やふくらはぎ、多汗症など製剤の使用量が多い部位に適用しており、患者の希望に応じてこれらの部位にボトックスビスタ®を使用することが一般的です。
ただしボツリヌス毒素製剤は非常にデリケートで、適切な温度管理や衝撃を避けないと効果が損なわれる可能性があるため、取り扱いには細心の注意が必要です。
ボトックス注射の持続期間とは
ボトックス注射の効果は通常、約3ヵ月から半年間持続します。
治療後2~3日で効果が現れ始め、2~3週間で安定し、その後3~4ヵ月維持されますが、時間が経つにつれて徐々に効果は薄れていきます。
効果が消えた場合、再注入することで元の効果を回復できます。特別な予定やイベントがある場合は、イベントの半月から1ヵ月前に治療を受けることがおすすめです。
ボトックス注射の副作用
ボトックス注射には以下の副作用が生じる可能性があるため注意が必要です。
施術中・施術後の痛み
ボトックス注射は、チクッとした痛みを伴う施術ですが、使用される針は非常に細いため、予防接種や採血に比べて痛みは軽減されます。
痛みの感じ方には個人差がありますが、予防接種の痛みに耐えられる方なら大きな問題はないでしょう。
また、痛みを心配する方のために、クリニックでは施術前に麻酔を使用する場合もあります。
施術後には、痛みや腫れ、内出血、場合によっては痒みが生じることがありますが、これらの症状は通常2週間程度で解消されます。
施術直後からメイクが可能であるため、帰宅前にファンデーションやコンシーラーでカバーすることもできます。
何か異常が長引く場合は、施術を受けたクリニックに相談することが重要です。
アレルギー反応
ボツリヌストキシン製剤はアレルギー反応のリスクが低く、発症した場合でも腫れや赤み、痒みといった軽度の症状が1週間程度で現れるだけで、重症化はほとんどありません。
そのため、施術前のアレルギー検査は通常行われないことが多いです。
しかし、アレルギー体質の人や不安を感じる方は、施術前に医師に相談することが推奨されます。
これにより、より安全に治療を受けることが可能になります。
頭痛
ボトックス注射後に稀に発生する頭痛は、注射によって筋肉の動きが制限され、施術前と異なる筋肉の負担が生じることによって起こります。
これは、筋肉のバランスが崩れることで、使用していなかった筋肉に疲労が蓄積し、頭痛やむくみ、倦怠感を引き起こすことが原因です。
特に普段頭痛を経験しない人にこの症状が現れやすい傾向があります。
これらの症状は通常、数日で自然に治まることが多いですが、頭痛に加えて発熱やめまい、吐き気がある場合は、身体に合わない可能性や施術の問題があるため、速やかにクリニックへ相談することが重要です。
左右非対称になる
ボトックス注射を施した後に顔の左右非対称が目立ってしまうことがあります。
この原因は、注入量の左右バランスにあり、左右で同じ量を注入しても、元々の筋肉の状態や反応によって仕上がりが均等にならないことが原因です。
そのため、自然な仕上がりを得るには、元の筋肉の状態を考慮し、効果の表れ方を予測して適切な量を注入することが必要です。
このような状況を避けるためには、施術者の技術と知識が非常に重要です。
もし注射後に左右の非対称が目立つ場合、通常はボトックスの効果が薄れる約1ヵ月で徐々に改善されることが多いです。
しかし、1ヵ月以上経過しても改善が見られない場合や、すぐに修正を希望する場合には、より動きの大きい側に追加でボトックスを注入することでバランスを整える対処が可能です。
このように、顔の左右差を適切に管理することが、施術の成功には不可欠です。
ボトックス注射の費用相場とは
ボトックス注射の料金はクリニックによって大きく異なり、額の場合は10,000円から60,000円の範囲で変動することが多いとされています。
また部位ごとに料金が設定されており、料金の差は注入する薬剤の量や部位の広さによるものが理由となっています。
たとえば顔面の表情筋は複雑な構造をしており、間違った量や場所に注入すると望まない筋肉に作用してしまうリスクがあります。
そのため、注入部位に応じて薬剤の量を調整する必要があり、これが料金の差に反映されています。
事前にクリニックで料金や詳細を確認することが推奨されます。
ボトックス注射では健康保険適用されるケースがある
一般的にボトックス注射は美容目的の場合だと健康保険適用外で自費となります。
しかし以下のケースの場合、ボトックス注射でも健康保険適用となる場合があります。
重度の多汗症・わきが
重度の多汗症やわきが治療のためのボトックス注射は、疾患として認められているため保険適用が可能です。
多汗症は局所多汗症と全身性多汗症に分けられ、これらは単なる体質ではなく治療を必要とする医学的な状態です。
手術による治療もありますが、ボトックス注射は非侵襲的であり、切らずに治療が可能な方法として注目されています。
これにより、多汗症やわきがの症状を効果的に管理することができます。
脳卒中の後遺症を改善する
脳卒中の後遺症である「痙縮」は、脳の神経細胞が壊死することにより発生し、筋肉が過度に緊張し、手足の動きが困難になる状態を指します。
ボトックス注射がこの痙縮の治療に用いられることがあり、筋肉の緊張を緩和させる効果が期待されています。
この治療は保険適用対象であり、脳卒中による痙縮を管理するための有効な方法の一つとされています。
眼瞼けいれん・片側顔面けいれん
顔面のまぶたや顔面がけいれんする症状は、筋肉が過剰に働くことが原因です。
このような顔面けいれんを和らげる目的で行われるボトックス注射は、筋肉の動きを抑制し、けいれんを軽減します。
脳卒中や頭部外傷などが原因で発生する顔面けいれんの治療にボトックスを使用する場合、保険適用が認められています。
この治療により、顔面の過剰な筋肉活動を効果的に抑えることが可能です。
ボトックス注射の施術の流れ
ボトックス注射を受ける際の一般的な流れはまず、患者様が来院し、医師による詳細なカウンセリングが行われます。
この段階で、ボトックスのメリット、デメリット、副作用、注意点について説明があり、治療に対する疑問や不安を解消します。
次に、医師が患者様の希望する部位にボトックスを注入します。痛みが心配な場合は、麻酔の使用も可能ですが、これには別途料金が発生することがあります。
施術後はダウンタイムがほとんどなく、すぐに帰宅でるケースがほとんどです。
最後に、必要に応じて冷却処置や消炎剤の塗布を行い、施術後のお肌の状態を確認します。
治療後に何か気になる点があれば、いつでもクリニックに連絡して相談しておくと安心でしょう。
まずはボトックス注射のカウンセリングを受けよう
今回は、ボトックス注射について得られる施術効果や料金、副作用などについてご紹介してきました。
ボトックス注射は、額から顎、首、肩、脇など広範囲の部位に適用可能な美容治療法です。
この治療はしわや筋肉の緊張、過剰な汗や臭いの改善に効果が期待されます。また、ふくらはぎへの適用例もあります。
ボトックス注射は注射による治療は時間が短く、手軽に受けられるため、気になる症状がある場合はカウンセリングを通じてまずは近くのクリニックなどで相談してみてください。